「おぼダレ」と時間

 

「精肉屋の焼肉丼おぼや」の味を支えているのが「おぼダレ」であり、その新鮮さを大切にするために、「おぼや」では店内で手作りをしています。

 

その美味しさと母の味を守るためには手間と愛情が欠かせません。ですから、「おぼや」ではこの「おぼダレ」を大量生産していないのです。何事にもスピーディーさが要求される今のの時代にあって、あえて時間をかけて作り上げることの大切さが、その美味しさにも現れてくるわけなのです。

 

そのタレ作りは、先ずリンゴの皮を剥くことから始まります。一つ一つ皮をむき、切り分けて芯の部分を取り除き、おろし器で素早く丁寧におろしていきます。胡麻もその風味を損なわないようサラサラになるようにすりおろします。

 

続いて、大きなボールに入れた唐辛子と砂糖に、すりおろした胡麻を混ぜ合わせていきますが、これにも順番があり、ちょっとしたコツもあるわけなのです。

 

やがて胡麻の香りが辺りに漂い始めると美味しそうなタレが出来る予感がして来るのです。醤油はゆっくりと時間をかけながら投入していきます。心の中で美味しくなれと念じながら、何回も混ぜ合わせていきます。

 

そうやってしばらくの間ひたすら混ぜ合わせることによって、タレは深みのある色に変わっていくのです。

 

甘いだけではなくちょっぴりと唐辛子が効いて深いコクがあり、まったりと優しく広がる風味豊かな母の味である「おぼやのタレ」は、こうしたゆったりとした時間によって作られるのです。